日本には給付型の奨学金がない!若者を育てる気がないヤバい国なのか?|『奨学金地獄』の感想


奨学金が返せない、奨学金が原因でブラック企業を辞められないなど、奨学金に関してニュースになることがあります。

そんなわけで奨学金に興味をもって、「「奨学金」地獄 (小学館新書)」を読んでみたのですが、日本の奨学金制度、日本の若者に対するスタンスが外国と比べて、オワコンだということに気づいてしまいました。

【ざっくり要約】

 

  • 日本には借金型の奨学金しかない(学生支援機構に限る 2017年現在)
  • 給付型(返済しなくていい)の奨学金が存在しないのはOECD加盟国のなかで日本とアイスランドだけ(アイスランドは学費が無料。2017年現在)
  • 未来を担う若者を育てる気がない日本って結構やばくない?

奨学金は海外では給付型が当たり前

大学生を経済的に支援する制度として奨学金があるのはご存じだと思います。そしてこの奨学金は、借りたら返さないといけない借金であることもご存じだと思います。

しかしこの「借りたら返す」奨学金というのは日本独自のもので、海外だと給付型、つまり返す必要のないものが当たり前だそうです。

そもそも海外では、返済の必要があるものを奨学金とは呼ばず、学資ローン(スチューデントローン)と呼ぶそうなのです。

本来、奨学金とは返済の必要のない給付のことを言います。

私は奨学金制度の視察に海外にも行きますが、外国の方に「日本はおもに貸与型奨学金である」と説明しても、おかしな顔をされます。というのも、貸与型奨学金という言葉が形容矛盾していて、外国の方には意味がわからないからです。

奨学金(スカラーシップ、またはグラント)とはそもそも給付型であり、海外では貸与型は学資ローン(スチューデント・ローン)と呼ばれて区別されています。

※引用:「奨学金」地獄 (小学館新書)

つまり、

・日本
奨学金=返す義務のある借金

・海外
奨学金=返す必要がないない給付型のもの。返済の必要があるものは学資ローンと呼ばれる

というわけです。

給付型(返済の必要がない)奨学金が存在しない日本

さらにヤバいのが、日本には給付型の奨学金が存在しないことです。

奨学金総額の9割を占める日本学生支援機構の奨学金は、2016年まで100%が貸与となっていました。

※引用:「奨学金」地獄 (小学館新書)

しかも、給付型奨学金(返済の必要がない奨学金)が存在しないのは、OECD加盟国のなかで日本とアイスランドだけだそうです。ちなみにアイスランドは学費が無料なので、実質、給付型奨学金が存在しないのは、OECD加盟国のなかで日本です。

つまり、お金がない人が大学に進学するには、借金をするしかないのです。

もちろん大学によっては、成績優秀者の学費を免除する、もしくは半額にするなど、独自の支援を用意している場合もあります。しかし大学独自に経済支援を使えない場合は、学費を全部、奨学金として借りるしかないのです。

若者を支援する気がないヤバい国、日本

最近では、国立大学も私立なみの学費になっています。どこの大学に進学するにしても、ある程度まとまったお金は必要です。

奨学金で借りるにしても、先行きが不透明な世の中で、働けば返せるなどという保証はありません。IT技術の進歩で仕事がなくなるリスク、不況で仕事がなくなるリスクは十分にあります。

そんな状況の中で、日本は給付型の奨学金を用意していないのです。

これはつまり「金のないやつは大学にいくな!」と言っているようなものです。

で、こんな状況なのは先進国のなかで、日本だけだそうです。

もちろん日本の大学は特殊で、まともに勉強する人のほうが少数です。

しかしそんな話は置いておいて、そもそも海外から見て「教育に金をかけない日本ってどうなの?」っていう話です。

若者を育てることにお金を使うよりも、じいさん・ばあさんのご機嫌取りにお金を使うことのほうが、日本にとっては重要になってしまっているわけです。

さすがにヤバい……、ということで2018年から日本でも給付型奨学金を始めるそうです。ただし制限が多く、まだまだ問題がたくさんあるとのことです。