なぜ日本人俳優の演技は下手なのか?下手に見えるのか? 【大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ】より解説

映画、演技

「日本人俳優の演技は、欧米俳優に比べて下手」といわれることがあります。

なぜ日本人俳優の演技は下手だといわれるのでしょうか?

その理由が、岡田斗司夫の著書「大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ」に解説されていたので紹介します。

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なぜ邦画の俳優の演技は下手に見えるのか?

日本人は表情が少ないのに無理やり表情を付けようとしているから

邦画における俳優の演技は「へた」ですが、これは別に俳優がヘタなのではありません。

同じ俳優を舞台で観ると、みんなすごいうまい。

「ヘタ」に見える理由の一つは、もともと日本人が無表情のまま話す民族であることを映画監督が見逃しているからでしょう。

表情がものすごく変わって身振り手振りが多いハリウッド映画とは、根本的に違う。

それを無理やり動的に見せようとして、不自然な演技をつけるあまり、演技力が空回りしているものが多いと僕は思っています。

※大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ 岡田斗司夫

諸外国の人に比べて日本人はあきらかに無表情です。

外国人はガンガン身振りを交えて話しますし、眉毛、口、目をガンガン動かして話します。

言葉でしゃべるよりも顔でしゃべっているような、そんな印象を受けるほどです。

それに比べ、日本人は身振り手振りもそれほど大きくないし、表情も少ない。

これは日本人ならだれもが自覚していることだと思います。

日本人は無表情。

それにも関わらず映画では、ハリウッド映画と同じように表情豊かな演技をさせようとしてしまう。

だから日本人の俳優は、下手に見えてしまうというのです。

「シン・ゴジラ」は邦画俳優の演技下手を乗り越えた

日本人の演技が下手に見えてしまう欠点を乗り越えた映画が、庵野秀明の「シン・ゴジラ」だというのです。

もっと徹底的に役者を絞ったほうがいい。

「シン・ゴジラ」のはじめのほうで延々と続く会議シーンがなぜ面白のかといえば、役者がみんな無表情だからです。

日本人の政治家や官僚の会議なら、無表情で当たり前。

僕らはその無表情から相手の真意を読もうとする。

観客に空想力、想像力を使わせるのが正しく、役者の表現力しか使っちゃいけない。

それなのに、役者に構想力や想像力を使わせて、観客に「こういうふうに観ればいいんだ」という正解探しをさせれば、日本人俳優の演技の幅は、こと映画においてはやせ細っていきます。

※中略※

画面上のあらゆるものをすべて監督が支配し、アニメとして作る。

この手法によって、庵野は邦画にあった演技の壁を乗り越えてみせました。

※大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ

監督の庵野秀明は、カットを短く割り、役者の演技を限定的にすることで演技の幅を絞りました。

役者に演技させるのではなく、役者を監督の表現者として利用したのです。

つまり、アニメと同じことをしたのです。

アニメのように実写映画を作った

アニメにおいてキャラクターは演技をしません。

声優の演技もありますが、しょせん声だけです。

またキャラクターの動きがすでに決まっているので、実写の俳優ほど演技の幅はありません。

アニメにおいて、キャラクターは監督が表現したいものを表現するだけです。

そんなアニメの表現手法を、庵野秀明は実写でも行いました。

つまり庵野監督が、映画のなかで表現したいものを表現させるためだけに、俳優を使ったのです。

演技を極限まで限定して。

だからこそ「シン・ゴジラ」は、日本人俳優の演技の下手さを乗り越えることができた、というのです。

「シン・ゴジラ」は邦画のなかでも数少ない、じれったくない映画

「テラフォーマーズ」「GANTZ」「戦国自衛隊」など、アクション要素のある邦画をこれまでたくさん見てきました。

それなりに面白いのですが、必ず途中でじれったさを感じていました。

「徹夜明けに見たら絶対に寝てるだろうな」と思うようなものばかりです。

しかし「シン・ゴジラ」はシーンの移り変わりが早く、展開がとてもスピーディーです。

役者が話す速度も速く、さらに表情がないまま淡々話が進むので、言外の意味を探る必要があります。

また官僚同士の会話ということもり、熟語や抽象的な言葉ばかりです。

頭を休める暇があく大変ではあるのですが、だからこそじれったさがない。

2時間という長い映画が、あっという間に終わっているのです。

「シン・ゴジラ」の登場で、これからの邦画のレベルは上がる

画面上のあらゆるものをすべて監督が支配し、アニメとして作る。

この手法によって、庵野は邦画にあった演技の壁を越えてみせました。

そして、それが邦画の発展を大きく促すことになるでしょう。

世界的に有名な邦画といわれてぱっと思いつくものはありません。

世界的に有名なアニメといわれれば「千と千尋」「君の名は。」「ガンダム」など、パッと思いつくものがあります。

日本のアニメのレベルが高いことは恐らく間違いないでしょう。

そんなレベルの高いアニメの手法を使って成功したのが「シン・ゴジラ」でした。

これから同じようにアニメの手法をそのまま使って邦画が作られるようになれば、邦画のレベルも上がっていくのではないでしょうか。

「日本人の演技は下手」「邦画はつまらん」などと言われるようなこともなくなるはずです。

そして世界的に有名な邦画が生まれるのではないでしょうか。

まとめ

※日本人俳優の演技下手に見える理由

  • 日本人は表情が少ない。身振り手振りも少ない
  • それにもかからず映画やドラマでは、海外の真似をして身振り手振り、表情を付けようとする
  • だから日本人の演技は下手に見える
※「シン・ゴジラ」は日本人俳優の欠点をどのように乗り越えたのか

  • 俳優の演技の幅を限定した
  • 監督が表現したことを俳優に表現させた
  • 画面上のあらゆるものをすべて監督が支配し、アニメとしてつくった


こちらの本では、今回引用した「シン・ゴジラ」だけでなく、「君の名は。」や「この世界の片隅に」についても、

ヒットの要因、今までのアニメと一線を画しているポイントなどが、岡田斗司夫の目線で解説されています。