自力で生活ができない人がいる場合、政府が税金で救ってあげるべきかどうか?
この問いについて日本人は、「貧困は自己責任なんだから、政府が救う必要はない」と考える人が多くいます。
つまり、日本は弱者に対してとても厳しい人が多いわけです。
本ページでは、「本当に弱者に対して厳しいのか?」について紹介します。
【要約】
- 日本人は弱者にめちゃくちゃ厳しい
- 誰もが弱者になる可能性がある
- 万一のことがあっても安心して暮らせるほうが良くないか? 税金が高くても
日本は弱者に厳しい国
2007年にアメリカのシンクタンクであるビューリサーチセンターが行った調査では、「政府は自分で生活できない人を救うべきか」という質問に対し、
「救うべきでない」と答えた人の割合がイギリスやドイツ、イタリア、中国などはおおむね7~9%、米国は28%であったのに対し、日本は38%でした。
日本人の38%が、「貧困は自己責任だから政府が救済する必要はない」わけです。
さらに、
国際社会調査プログラムという調査でも、「格差の是正は政府の責任である」という質問に賛成した人の割合は、OECD加盟国平均が69%であるのに対し、日本では54%でした。
生活保護の切り捨てや福祉の切り捨てが公然と語られるなど、日本は冷たい社会になっていることがわかります。
上記は「「奨学金」地獄 (小学館新書)」からの引用です。
「格差を無くすことは、政府の仕事ではない」と考えている人が、日本は他国に比べて多いのです。
しかしこれは、変な話です。
格差の是正とは、政府が裕福な人からお金をとって、貧しい人・救済を必要としている人にお金を配ることです。
この再分配について、反対する人が50%以上いるということは、
- 裕福な人たちから金を取ることにも反対
- 裕福な人たちのお金が、下流・中流層の人に分配されることにも反対
であるということです。
富裕層の人が再分配に反対するのは理解できます。
しかし日本人の50%以上が再分配に反対しているということは、おそらく富裕層ではない人も再分配にも反対しているわけです。
誰もが弱者になる可能性がある
いい仕事に就くことができ、高い給料を稼いでいても、事故や病気で仕事を続けられなくなる可能性だってあります。どれだけ努力しても運が悪ければ、貧困に陥る可能性があるのです。
どれだけ裕福な人も事故や病気など不測のことがあれば、貧困に陥る可能性があります。ビルゲイツだって、孫正義だって、ホリエモンだって。
不測の事態があって自分の力で稼げなくなった時、政府が救済の手を差し伸べてくれれば、これほどありがたいことはありません。
だから日頃から貧困者の救済制度を充実させておき、自分がいつ貧困者になっても政府からの救済を受けられるようにしておくほうが、安心して生きていけると思うのです。
その安心を得るために、少しくらい税金は我慢できるでしょう。
誰もが弱者になる可能性があります。それにもかかわらず弱者救済に反対したり、批判したり、「貧困は自己責任」だと発言したりするのは、そのまま自分の首を絞めることにもなるのです。